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2024年開通の関水本線では、補機として野辺山SLランドからやってきた酒井工作所製DL3号機がいます。今は新工場建設中なので鶴ヶ島市役所に展示されていますが、関水本線開通時には色を塗り直して活躍します。名前は「BILLY」。他の蒸気機関車たちにも名前があります。番号で呼ぶよりも、機関車が身近に感じられるようになりました。
KATO初のペーパーモデルキットは、このBILLYがモデルです。しらたまラインで幾度も試作会を行い、最適な紙と作り方、そしてBILLYに似合う色を考えました。紙は作りやすく、塗装時の光沢が出やすい「ケンラン」という紙を使うことになりましたが、色紙を使用しているので無塗装でもとてもかわいい機関車が作れます。接着剤はペーパークラフトのために作られた「ロケット・カード・グルー」がセットされています。動力ユニットも付いているので、組み立てたBILLYをすぐに走らせることができます。のんびり走るナローゲージを想像しながら楽しんでお作りください。


「STEAMで深まるナローゲージディーゼル機関車キット」のディーゼル機関車BILLYには、過去から未来にかけての長い歩みがあります。
モデルとなった実車はもともと1964年、重機メーカーの酒井工作所(いまの酒井重工業)で誕生しました。重量は約7トンです。
誕生時の名前は「社内車065号機」。関東特殊製鋼という会社の本社工場(神奈川県藤沢市)の敷地内で活躍したのでした。

photo by Hideo Sunaga
関東特殊製鋼の本社工場時代の「社内車065号機」

写真提供 : 国土地理院
同工場はJR東海道線辻堂駅のすぐ北側にあった
この工場での役割を終えて廃車となったものの、2001年に野辺山SLランド(長野県南牧村)に引き取られ、「No.143」(DL3号機)として生まれ変わり、装いも新たになりました。新天地でも、入園客を乗せたトロッコを牽引するなどして活躍しました。


photo by Noriyuki Okamoto
野辺山SLランドでの「No.143」(DL3号機)。2001年時点(左)では昔の姿だったが、新たな姿になり客車を牽引するなどして活躍した
しかし、野辺山SLランドは2018年8月をもって閉園。ディーゼル機関車は、新たな所有者とつぎの活躍場所を探すことになりました。
新たな引き取り先となったのが鉄道模型のKATOです。鉄道の発祥国イギリスの機関車文化の気風が吹き込まれ、新たに「BILLY」の名前があたえられました。
いま、BILLYは埼玉県鶴ヶ島市役所の展示スペースで、蒸気機関車「363号機」とともに一休みしています。

鶴ケ島市役所の展示スペースに並んでいるBILLYと363号機
でも、まもなく新たな活躍の場へと向かいそうです。
埼玉県鶴ヶ島市につくられる関水金属新工場とKATO RAILWAY PARKの敷地内に、ナローゲージの「関水本線」が2024年、開通します。ここでBILLYは、エンジン・シェッド(機関庫)から客車や「箱トロ」などを運び出したり、蒸気機関車OLIVERの活躍を助けたり、また、ほかの車両を本線に運んだりと、さまざまな活躍が期待されています。
関水本線で、みなさんにお披露目されるときは、キットの模型のような明るい色に化粧直しもされていることでしょう。

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